K35 NC1
容量: 1 mg/ml
本質: Ⅳ型コラーゲンNC1領域(Noncollagenous domain of collagen Ⅳ)
形状: 溶液 (凍結)
保存: -20 ℃
使用期限: 1年
由来: ウシ腎糸球体
精製: 独自精製
溶媒: PBS
防腐剤: 添加無し
特徴
Ⅳ型コラーゲンは基底膜緻密層の主要構成成分であり、Ⅰ型・Ⅱ型等の線維性コラーゲンと異なり、基底膜コラーゲンと呼ばれています。7S、NC2、TH2、NC1の4つの特徴的な部位から構成され、その中でもNC1(非コラーゲン性ドメイン)は特に重要な役割を果たしています。
腎臓の自己免疫疾患において、基底膜に対する自己抗体は深刻な病態を引き起こします。具体的には、糸球体基底膜(GBM)に対する自己抗体による抗糸球体基底膜抗体腎炎や、尿細管基底膜に対する自己抗体による間質性腎炎が知られています。本品は、腎糸球体基底膜を構成するⅣ型コラーゲンの非らせん部位(NC1ドメイン)で、糸球体腎炎モデルを惹起する研究試薬です。
主な用途は以下の通りです:
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腎炎モデル(K35腎炎)の作製:腎炎研究モデルの確立
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自己免疫性腎疾患の病態解析:疾患メカニズムの解明と理解
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腎疾患治療薬の探索と評価:新規治療法開発に向けた研究
NC1ドメインは、その独特の構造と免疫学的特性により、腎臓疾患研究において極めて重要な分子ツールとして認識されています。腎臓病の診断・治療法開発に向けた重要な知見をもたらす可能性を秘めています。
K35腎炎とは
1[K35腎炎]とは、タイプⅣコラーゲンNC1領域(NC1,品名「K35 NC1」)の投与により惹起される「抗糸球体基底膜(GBM)抗体腎炎」です。
「抗GBM 抗体腎炎」は、ヒトでは稀な腎炎(狭義ではグッドパスチャー症候群)とされ、実験的には馬杉腎炎を起点とし、Sadoらがラット腎炎モデル³を確立しました。
2腎炎モデルの作成製例
注)下記のラット腎炎モデルは尿蛋白で腎炎発症。
1)ラット(Wky/NCrj、雌10週齢)
K35 100 µgを同量のFCAとのエマルジョンとして両後肢足蹠の皮内に1回均等投与。
3週後に尿蛋白が尿試験紙で高度の陽性値を示す¹)。
2)ラット(Wistar、雌5週齢)
尾根部皮内にK35を初回50、2週、4週後に各100 µgを、同量のFCAとのエマルジョンで投与。6週後に尿蛋白が尿試験紙で上限の陽性値を示す¹)。
3)サル(カニクイサル、雌 約4歳)
K35 4mgを同量のFCAとのエマルジョンとして、両後肢足蹠の皮内に1回均等投与。3週後に尿蛋白が尿試験紙で陽性を示す¹)。
*WCN 6 8~12、2003 BERLIN
**9 th APC OF Nephrology 2 16~20,PATTAYA THAILAND
4)サル(カニクイサル、雌約4歳)
背部皮内にK35を初回1 mg、3週後に3 mgを、同量のFCAとのエマルジョンで投与。4-6週後に尿蛋白を示す*。
*第47回(H16)日本腎臓学会 5 27-29 2004. 宇都宮.

Fig. 1 Glomerular hypercellularity (H) and focal and segmental destruction of GBM with cellular crescent (Cre). Tubulo-interstitial lesion is composed of the TBM break (arrows) and interstitial mono-nuclear cell infiltration. No. 2301, PAM stain イナリサーチ社
Fig.2 Appearance of large vacuolated cell or giant cell in the urinary space. No. 2301, PAS and PAM stain イナリサーチ社
使用論文
Aoyagi D., et al. (2010) Granulomatous transformation of capillary lesions in pulmonary-renal syndrome autologously induced anti-glomerular basement membrane disease in Wistar-Kyoto rats. 14(2):123-31.
関連製品
・「K35mono 抗NC1モノクローナル抗体(マウス由来)」
*ヒトや腎炎モデルの障害腎のみを免疫組織染色し、回復腎や正常腎を染色しない
**K35monoが認識する部位を抗原とした自己抗体がK36により測定される
・「K36 抗NC1抗体測定キット ELISA」 ヒト用
*腎炎で検出される
・「K34 タイプⅣコラーゲン(ヒト胎盤由来) 1 mg」
・「K34POLY 抗タイプⅣコラーゲン抗体(ウサギ由来)」
*正常腎及び障害腎の両者を染色する
・「K79L タイプⅣコラーゲン測定キット(動物用)」 「K79H(ヒト用)」
文献
1)細胞 34(4) : 36-39, 2002.
2)細胞 35(4) :40-44, 2003.
3)細胞外マトリックス研究法(5) コラーゲン技術研修会刊. 48-63, 1999.