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Ⅱ型コラーゲン(Type II Collagen)とは

コラーゲンは動物体内で最も豊富に存在するタンパク質であり、全タンパク質の約30%を占めます。現在28種類以上の型が同定されていますが、その中でもII型コラーゲン(Type II Collagen)は、軟骨組織に特異的に発現する線維形成性コラーゲンとして、組織の機能維持に不可欠な役割を担っています。

II型コラーゲンは、3本のα1(II)鎖からなるホモ三量体[α1(II)]₃を基本単位とします。各α鎖はGly-X-Yというトリペプチド繰り返し配列を約340回保持しており、全長約300 nmの剛直な右巻き三重らせん構造を形成しています。この特異的な分子構造が、軟骨特有の生体力学的特性(圧縮耐性・弾力性)を支える根幹となります。

また、II型コラーゲンは成熟軟骨の乾燥重量の約50〜60%を占め、アグリカン等のプロテオグリカンや、他のコラーゲン(IX型、XI型など)と密なネットワークを形成することで、細胞外マトリックス(ECM)の3次元構造を維持します。近年の変形性関節症(OA)や関節リウマチ等の病態解明、再生医療、免疫学的研究において、高純度なII型コラーゲンへの需要はますます高まっています。

N末端 テロペプチド (非らせん領域) C末端 テロペプチド (非らせん領域) 三重らせんドメイン ≈ 300 nm ペプシン切断 ペプシン切断 アテロコラーゲン(テロペプチド除去後) α1(II) 鎖 1 α1(II) 鎖 2 α1(II) 鎖 3 テロペプチド(非らせん領域) ✂ ペプシン処理で除去 → アテロコラーゲン Gly–X–Y 繰り返し(X: Pro, Y: Hyp) 分子量 ≈ 300 kDa / 長さ ≈ 300 nm 直径 ≈ 1.5 nm / [α1(II)]₃ ホモ三量体

分子構成

α1(II)鎖×3本のホモ三量体。一本のα鎖は約1,400アミノ酸から成り、Gly-X-Y繰り返し配列による三重らせんドメインを持つ。分子量は約300 kDa。

主要分布組織

硝子軟骨(関節軟骨・肋軟骨)に最も豊富に発現。そのほか線維軟骨、椎間板髄核、硝子体、発生期の骨組織にも局在する。

翻訳後修飾の特徴

Ⅰ型コラーゲンと比較してヒドロキシリジン残基のグリコシル化(ガラクトシル化およびグルコシルガラクトシル化)が著しく高く、軟骨特異的マーカーとして機能する。

疾患との関連

変形性関節症(OA)・関節リウマチ(RA)において分解・修飾が亢進。CTX-II(C末端架橋テロペプチド)は軟骨変性バイオマーカーとして臨床的に活用される。

研究試薬としてのⅡ型コラーゲン

生体から抽出されたコラーゲンは、研究・医療応用の前段階として免疫原性の除去と溶解性の改善が求められます。テロペプチド(非らせん末端領域)を酵素処理により除去した「アテロコラーゲン(Atelocollagen)」は、こうした要求に応える高精製コラーゲン素材であり、広く研究試薬として使用されています。     

アテロコラーゲンとは

天然コラーゲン分子の両末端に存在するテロペプチド領域を、ペプシン(あるいはプロナーゼ)処理によって選択的に切除したコラーゲン分子。三重らせん本体(約95%の長さ)は保持されるため、構造的機能は維持される。「アテロ(atelo-)」はギリシャ語で「不完全な」を意味し、末端を欠いた構造であることに由来する。

なぜテロペプチドを除去するのか

テロペプチドは主要な抗原決定基(エピトープ)を含んでいるため、そのまま生体内や細胞培養系に導入すると免疫反応・炎症応答を引き起こすリスクがある。また架橋形成の起点でもあるため除去により溶解性が向上し、均一なゲルや薄膜の作製が容易になる

Ⅱ型アテロコラーゲンの特性

Ⅰ型アテロコラーゲン(皮膚・腱由来)と比較し、グリコシル化ヒドロキシリジン含量が高く、水溶液中での会合挙動が異なる。軟骨細胞の培養基材として使用する場合、軟骨特異的な遺伝子発現(SOX9, ACAN, COL2A1)の維持・促進に有利とされる。

Ⅱ型コラーゲン関連製品

定量・検出キット

Ⅱ型コラーゲン

コラゲナーゼ(MMP)活性測定試薬

抗Ⅱ型コラーゲン抗体

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